終活と聞くと「まだ考えたくない」「まだ早いのでは」とお考えの方も多いと思います。
ただ、司法書士として相続手続きや認知症になられた方の成年後見のお手伝いをさせていただいていると、「あの時にこうしておけば良かった」という場面に立ち会うことがあります。
自分自身にいつ、何が起こるかは、誰にもわかりません。その時の準備として、少しずつ考えてみてはいかがでしょうか。
分からないこと、ご不安なこと、気になることをご相談下さい。
ご自身の考えを整理するため、市販のエンディングノートやWEBでダウンロードしたものを活用すると良いと思います。
「子供がいないので妻(夫)に全財産を残してあげたい」
「相続人間で争いが起きないように財産の分け方を決めておきたい」
「相続人以外の方に遺産を渡したい」
このような場合、遺言を作成する必要があります。
遺言を残すには①ご自分で作成する「自筆証書遺言」、②公証役場が関与して作成する「公正証書遺言」、③誰にも内容を知られないように作成する「秘密証書遺言」の3種類の方法があります。
それぞれにメリットやデメリットがありますので、お話をお伺いし、ご依頼内容に合う方法を提案させていただきます。
ご自宅の名義を生前に妻(夫)の名義に変更する手続きです。
ご自分が亡くなった後、自宅は妻(夫)に住まわせたいとお考えであれば、検討する必要があります。
通常贈与をすると、多額の贈与税が発生する可能性がありますが、婚姻期間が20年以上の夫婦間のご自宅の贈与は、課税価格から金2000万円を控除する「贈与税の配偶者控除」という特例があります。
また、今まで生前贈与された自宅は、相続の際に、原則として法律上の相続分から差引くこととされていましたが、令和元年7月の法改正により、相続の後も妻(夫)が自宅を確保でき、なおかつ法律上の相続分に応じた遺産を相続できるようになりました。
「今は元気だけれども、自分が認知症などにより判断能力が衰えてきたときに、信頼できる方に支援してほしい」
そのような場合、信頼できる方と支援内容を決めて将来の約束をすることを「任意後見契約」といいます。
公証人の関与のもと公正証書で契約を結びます。
「任意後見契約」を結んだだけでは効力は生じません。
後日、判断能力が低下した場合に実際の支援が始まります。
家庭裁判所に申立てをし、支援をする方が「任意後見人」として支援を行うことになります。
支援をする方はご親族、第三者どなたでも構いません。司法書士に依頼することも可能です。
任意後見契約の効力が生じるまでの間、ご本人と定期的に面会して、ご本人の生活や、心身の状態を確認し、適切な時期に任意後見人の支援が受けれるように見守るための契約です。
任意後見契約の附随的な契約として締結することが出来ます。
「任意代理契約」はご本人の判断能力には問題ないけども、病気などにより財産管理などを行うことが難しい場合や施設や病院に入院したため外出が難しい場合などにご本人を支援する契約です。
任意後見契約の附随的な契約として締結することが出来ます。
任意後見契約は、ご本人の死亡によって終了しますので、任意後見人は何の権限もなくなってしまいます。そこで、死後のことを任せるため「死後事務委任契約」を「任意後見契約」の附随的な契約として締結することが出来ます。
具体的には、葬儀や納骨、入院費の清算や、各種の届出などを委任することとなります。